【大きい画像を見る】「ちおちゃんの通学路」は『Half-Life 2』に影響を受けた?―作者・川崎直孝に吉田輝和がアレコレ訊く【特集】

月刊コミックフラッパー連載の「ちおちゃんの通学路」(KADOKAWA・メディアファクトリー)は、PCゲーマーの女子高生・ちおちゃんを主人公としたコメディ漫画です。 2018年7月からアニメ放送が開始された事もあり、今、多くのアニメファンから注目が集まっています。ちなみに本作には、Game*Spark/インサイドにて連載している「吉田輝和の絵日記」でお馴染みの謎のおじさん・吉田輝和もなぜかモブキャラとして登場しているのです!

そんな縁もあって今回は、吉田輝和が「ちおちゃんの通学路」の原作者である川崎直孝氏に作品の魅力や、作中に登場するゲームネタ、そして「なんで僕、漫画に登場するんですかね?」などの気になる事をたくさん訊いてきました。本作の担当編集者である遠藤氏もインタビューに参加します。


吉田輝和(以下:吉田):それではよろしくお願いします。いよいよアニメ放送が開始されましたが、今どのようなお気持ちでしょうか?

川崎直孝氏(以下:川崎氏):嬉しいです。自分の考えたお話がモニタで流れている違和感にまだ慣れていないので、なぜか照れる気持ちがあり顔が真っ赤になります。

吉田:僕も動いてるちおちゃんを見て大興奮でした!声がついて動いていると原作とはまた違ったテンポになってて新鮮でしたね。

川崎氏:間は全然変わりますね。実際に台詞が入ると、漫画なら2コマで終わるのに文量が多いところだと尺が長くなって、めっちゃ重要な感じになったりしますね。

吉田:そういうところから新たな面白さが生まれる予感がします……!

登校漫画「ちおちゃんの通学路」誕生秘話

吉田:「ちおちゃんの通学路」が誕生したきっかけのようなものはありますか?

川崎氏:某雑誌に通学モノの読み切りを描いたことがありまして。女の子が登校中におじさんと追いかけっこする話でした。その時のキャラデザが割と可愛く描けた気がしたのと、自分的に話の出来が良かったという想いがあって。

一方、コミックフラッパーで最初に進めていたゲーセンを題材にした漫画のネタがあって、若干思い入れがあるので描いてみたかったんですけど、なんか漫画描くのを邪魔してくるおじさん(担当編集者の遠藤氏)がいて、そのゲーセン漫画はおじさんの妨害によって日の目を見る事はなかったんですね。

遠藤氏:それは大変な思いをされましたね……。一応補足すると、妨害というのは、プロット部分で再考をお願いしただけですよ。結果としては、諸々の理由で、ゲーセン漫画は難しいかも、となりました。

川崎氏:それで漫画にゲーム的な趣味を入れたいというのと、先ほどの某雑誌で描いていた漫画のイメージが頭の中で合わさって、コミックフラッパーの新人授賞式のホテルで寝てて思いついたのが、「ちおちゃんの通学路」の原型だと思います。

吉田:なるほど……!アイデアが上手い事融合したのですね。

川崎氏:自分が人生で最初に受賞した漫画「米の国から(*)」の内容が登校中のコメディだというのも大きいですね。

(*)「米の国から」は、一迅社発行の漫画雑誌Comic REXの「REXコミック大賞4コマ・ショートギャグ部門」の受賞作。当時の作者名は、Kの字。

吉田:そうして、おそらく今まで例のない「登校漫画」というものが生まれたのですね。

川崎氏:漫画妨害おじさんが「一言でコンセプトが言えるほうが良い」って言っていた事もあり、登校漫画ってフレーズを考えた時はかなり興奮したのを覚えています。

遠藤氏:え……私の呼び名、ずっと漫画妨害おじさんで行くんですか。

吉田:今までにないですもんね。それでいて登校中にゲームの妄想しちゃう事って、ゲーマーなら結構あるある!と思いますし。曲がり角でクリアリングしたり……みたいな。

川崎氏:そうそう。『GTA』やってると、「そのへんの車もってってええんちゃうかな?」みたいな感覚ですね。

吉田:僕も『Fallout 4』をやってた時は「この車分解したらどの素材が何個出来るかな」みたいな事考えながら歩いてました。

川崎氏:わかります……。

2004年に発売されたFPS『Half-Life 2』
吉田:では、作品を作る上で影響を受けたゲームはありますか?

川崎氏:根っこの部分を言えばFPS『Half-Life 2』だと思います。物理エンジンがよく出来ていて、ステージを進むためにオブジェクトを利用して……っていうゲーム性が自分の中で衝撃でした。初PCゲームでもあったので、ちおちゃんがなぜPCゲーマーかといえばそのへんの影響が大きいですね。

吉田:そこからPCゲームを色々プレイするようになったのでしょうか?

川崎氏:ですねー。思いっきりPCに傾いてPS3以降は触った事がないかんじです。

吉田:そんな前から……。根っからのPCゲーマーなんですね。『Half-Life 2』も十数年前の作品ですもんね。

川崎氏:年齢で考えてもそのくらいになっちゃいますね(笑)

吉田:漫画のストーリーを考える上で、一番苦労する点はなんでしょうか?

川崎氏:なんか妨害が入るんですよ……。

吉田:妨害。

遠藤氏:それは大変ですね……。一応補足すると、川崎さんは「ネームの没やリテイク=妨害」と変換してますが、必要なことですから!

川崎氏:ある程度、起承転結を意識しているので、そのへんが難しく感じる部分でもありますね。最初は、通学路というくくりを逆手に取って「通学路で起こりうるんだったら何やってもいいじゃん!」って感じで乗り切れたんですけど、最近はキャラクターの存在が大きくなってきて、もっとプライベートな側面を見てみたいなと思ってきてしまい、通学と関係ない買い物の話とかもときどき描くんです。でも、それをやりすぎるとコンセプトが逸脱するので、そのへんのコントロールも難しいですね。

吉田:絶妙なバランスコントロールなんですね。読者としてもやっぱりちおちゃんや他のキャラのプライベートも気になりますからね。

川崎氏:ですね。最近は「あんまり気にしないようにしよう」って事にして割とのびのびやっています。

「おま国」「ゲーム脳」などのゲームネタ

吉田:作中、海外の人気作が何故か日本では発売されない「おま国」や、通常版には他の言語が収録されているのに日本語だけ別売りな「Japanese Language Pack」などの結構辛辣なSteamネタもありますが、そういった情報はどこから得ているのですか?

川崎氏:実際、PC版『トゥームレイダー』の日本語パック買ったというのもあるんですけど、そういうPCゲームの情報はGame*Sparkなどのニュースサイトで収集していますね。

吉田:ストーリーを考えている時「これがないと無理!」というような飲み物や道具はありますか?

川崎氏:道具ではないのですが、散歩の時間ですね。「ちおちゃんの通学路」のお話の95%は歩いている最中に考えたものだと思います。

吉田:ほうほう……そんなに!やはり外出中にネタを色々拾えるのでしょうか?

川崎氏:散歩しながら地形を見るっていうのもあるんですけど、知らない場所を歩いているという状況がほしいんです。非日常空間みたいな。ゲームで言うはじめてのマップにワクワクするみたいな感じですかね。

吉田:そう言った体験が作品に反映されていっているのですね。ちおちゃんは時折「ゲーム脳」を発動させて無茶な事をしでかしますが、川崎先生は「ゲーム脳」の存在を信じますか?

川崎氏:信じます。定義にもよると思いますが、多かれ少なかれなんらかの影響はあると考えます。実際に『GTA』にハマっていた頃は、ちょっとだけ運転が慎重さを欠いて壁にこすってしまいました。奥さんには黙っていましたが、完全に脳内で見えている視界をゲームのマップに置き換えていたので、「これがゲーム脳ってやつか……」とちょっと思いましたね。

吉田:なるほど。オカルト研究的なやつはさておいて、ゲームにハマってる人にはあるあるなんでしょうね。ゲーム脳。

川崎氏:けっこう意味合いが難しいですよね。言葉遊びになってる印象があります。

吉田:ちおちゃんはSteamを利用しているようですが、彼女も大型セールでまとめ買いをして積みゲーに悩まされているのでしょうか。

川崎氏:あんまり積んでないイメージですね。オンライン対戦ができるメジャータイトルを長く遊んでいるタイプだと思います。

吉田:狭く深くのタイプなんですね。

川崎氏:だと思います。

次のページ:なぜ吉田輝和が漫画に登場するようになったのか?・川崎直孝先生が考える名作ゲームとは?・ゲーマー女子日常系漫画「じゃんげま」を語る!

漫画界のイースターエッグ「吉田輝和」について

吉田:作中、吉田輝和とおぼしき中年男性が登場しますが、なぜ登場するようになったのでしょうか?

川崎氏:「惰性67パーセント(集英社)」の紙魚丸先生が作中でいじってるの見て、それで調べてみたら絵日記サイト時代からずーーっと自画像を描いているっていう吉田輝和さんに行き着いて。一体何者やねんと。ちょこちょこ他の人が描き出した流れがあったので自分も描いてみた感じですね。

遠藤氏:仕上がった原稿を見て「ここのオッサンだけえらい絵柄違いますね」って言ったら、川崎さんが「吉田輝和さんですよ」と。そんなことも知らないのオマエ、みたいなテンションで言い返されて、地味にイラッとしました。

吉田:川崎先生がたびたび「あのおっさんを出したら売れるぞ」みたいな感じでプッシュしてくださって非常に嬉しかったのですが、編集さんに怒られないかなぁと気が気でなかったです。

遠藤氏:でも今では私も吉田さんのスタンプを愛用してます。川崎さんとのLINEでは、たまに吉田さんのスタンプだけでやりとりが完了したりしますね。

吉田:わあぉ、スタンプありがとうございます!くっそ売れてないスタンプです!(吉田輝和のLINEスタンプはこちらからどうぞ)

川崎氏:漫画家仲間に「漫画界のイースターエッグ的存在の人がおるで!」っておすすめしまくっていて、最終目標は、末次由紀先生の「ちはやふる(講談社)」に吉田さんが出るようにする事です。

吉田:最初に吉田輝和を登場させた紙魚丸先生が母だとすると、育ててくれた川崎先生が父ですね。

川崎氏:その表現(爆笑) 感謝します。

吉田:Game*Sparkで連載している「じゃんげま」では、主人公のろめ子がPCゲーマーになったきっかけが描かれた番外編がありますが、ちおちゃんがPCゲーマーになったきっかけというのは今後語られるのでしょうか?

川崎氏:んーーーーーーー確かに面白そうですね。実際今まであんまり考えてなかったです。

吉田:これから語られる可能性があるかも……という感じですかね。

川崎氏:じゃあアニメのBOXの特典漫画で描きたいと思います。

遠藤氏:それは良い考えですね。

吉田:わぁ楽しみですね!爆売れ間違いなし……!

川崎直孝先生が考える名作ゲームとは?

バトルロイヤルシューター『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』
吉田:川崎先生が今までプレイした中で一番の名作ゲームはなんでしょうか?

川崎氏:甲乙つけがたいところなので、ふたつあげるならば『オーバーウォッチ』と『PUBG』です。ゲームの完成度という観点というよりは体験としての楽しさが優れているという理由であげました。

吉田:オンライン対戦型のゲームが好みという事なんでしょうか?

川崎氏:ですね。初めてオンラインでフレンドを組んで、Skypeで会話しながらパーティで突撃したのが『オーバーウォッチ』でした。

吉田:やはりワイワイやるのは楽しいですもんね。

川崎氏:同作は、ロールによって立ち回りが違うので、ほかのロールのプレイヤーと連携を取っていくチームプレイの楽しさに感動を覚えましたね。そもそもゲームとしての出来も素晴らしいですし。

『PUBG』は、広大なフィールドでの移動が多く、比較的戦闘が起こりづらいゲームですが、みんなでやると移動中の会話が多くなりコミュニケーションツールとして優秀な側面があると思います。

吉田:仲間内でダラダラとダベるのにも最適なんですね。

川崎氏:「一緒に『PUBG』やりましょう」の一言で初対面の作家さんでも仲良くなれたので、そういう意味でやっぱりゲームっていいなーと思えたのが『PUBG』です。

ゲーマー女子日常系漫画「じゃんげま」を語る
吉田:「ちおちゃんの通学路」はもちろん、ゲームを題材としている漫画は他にもたくさんありますが、川崎先生が今一番注目しているものはありますか?

川崎氏:「じゃんげま」が単行本化するので、やはり「じゃんげま」ですね。注目してます!売れてくれーーーーーーーーーーーーーー!

吉田:ずばり「じゃんげま」の魅力とはなんでしょうか?

川崎氏:真正面からのゲームネタと、女の子漫画としてキャラの魅力を引き出すという、なかなか相容れない要素を高い次元で成立させている上にフルカラーなので、すげーとしか言えないところです。

吉田:たしかに……!「じゃんげま」の中で好きなエピソードはありますか?

【漫画じゃんげま】112.「バキバキ」の巻
川崎氏:112.「バキバキ」の巻ですね。この話がキャッキャしてて好きです。たまーーーーーにあるエロ要素が良い……。

吉田:神回ですね!バッキバキ!エロ要素は大事ですね。やはり好きなキャラクターはえいむちゃんですか?

川崎氏:そうですね。「じゃんげま」はえいむ先輩の寛容さで出来てると思います。

吉田:女の子がキャッキャしてるだけでも嬉しいのに、題材がゲームという事もあって2倍嬉しいですよね。

川崎氏:Stggc先生もそのあたりのバランスは苦心されているそうで毎度正座して読んでいます。

吉田:同じく女の子がキャッキャしてる上に題材がゲームで2倍嬉しい「ちおちゃんの通学路」と「じゃんげま」の共通点があれば教えてください。

川崎氏:PCゲーマーを具現化したときに、メガネ&陰キャラでちょっと性格がヒネてる感じに仕上がるというのはちょっと面白いと思いました。マイナーを自覚する自虐性がちょっとあるのかもしれないですね。


吉田:最後に、これまで漫画を読んでくれているファンや、アニメ放送をきっかけに「ちおちゃんの通学路」が好きになった人、当サイトの読者に向けてメッセージをお願いします!

川崎氏:もしかしたらこの先、戦場のどこかでちおちゃんが使う「bloody_butterfly」という名前を見かけるかもしれません。その際はお手柔らかにお願いいたします。

吉田:ありがとうございました!アニメの放送も始まって、人気漫画の階段を駆け登っていく「ちおちゃんの通学路」、今後とも楽しみにしております!【ほかの画像を見る】「ちおちゃんの通学路」は『Half-Life 2』に影響を受けた?―作者・川崎直孝に吉田輝和がアレコレ訊く【特集】
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(出典 news.nicovideo.jp)


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